2026年7月25日
祇園祭 屏風飾りと鯉山 山鉾巡行
祇園祭今年の屏風飾りのテーマは『祈り』です。

酷暑の中、ご苦労様です!





今年の祇園祭の屏風は、江戸と平成、それぞれの時代に描かれた祇園祭の屏風を並べました。祭りは、祈りから始まります。長い歴史の中で、祭りは時に、町の力を示すものとなり、また時の為政者の思いを映すものにもなってきました。
「祭りごと」という言葉が「政」に通じるように、祭りとは人々の祈りであると同時に、時代の姿を映すものでもありました。しかし、その奥にあるものは、やはり民の祈りではないでしょうか。災いが鎮まりますように。町が守られますように。家族が健やかでありますように。
声高に語られることのない、小さな願いの積み重なりが、祇園祭を今日まで支えてきました。平成の祇園祭礼図屏風について、宗教学者・山折哲雄先生は、華やかな山鉾巡行の姿だけでなく、その奥にある祭りの構造を見つめられました。屏風の中に描かれた無数の人々は、神仏や自然の前では、まるで米粒のような存在として浮かび上がります。人は小さな存在でありながら、それでも祈らずにはいられない。その心こそが、祭りの底に流れているものなのかもしれません。
江戸の屏風には、町衆の賑わいと、祭りを支えた暮らしの記憶が映されています。平成の屏風には、祭りの形を一度解きほぐし、その深いところにある祈りの気配があらわれています。
今年は、その屏風の前に、大河ドラマ『豊臣兄弟!』の戦国の世を思わせる
いくつかの気配を添えました。一輪の桔梗の花に、静かな覚悟を。長刀鉾の『長』文字は、時代を動かした者の気迫を。小さな猿の姿に、天下へ駆け上がった人の愛嬌と、その陰で支える者の力を・・・。見る方の心の中で、信長、光秀、そして豊臣兄弟!の物語が、そっと立ち上がれば幸いです。
天下を動かした人々の時代にも、町に祭りがありました。武将の思惑を越えて、民の暮らしがあり、家族を思う心があり、災いを鎮めたいという祈りがありました。
祇園祭は、時の権力を映しながらも、最後には民の祈りへと還っていく祭りです。
屏風に映る祭りの姿。時代を越えて祇園祭を作り上げてきた、人々の祈りを感じていただけましたら幸いです。